2024/11/07
私の部屋の加湿器から立ち昇る湯気を見ながら、ふと思い出す福岡の雨の日。一蘭の店内で立ち込めていた湯気の香りと、今部屋に漂う潤いは、どこか似ているような気がする。
通販で取り寄せた一蘭のラーメンを作る日は、まるで儀式のように特別な準備から始まる。まずは加湿器のスイッチを入れ、部屋全体を程よい湿度に保つ。乾燥した冬の空気では、あの特別な一杯の雰囲気は出せない。加湿器から立ち上る細い霧が、少しずつ部屋を本場の雰囲気へと変えていく。
お湯を沸かし、丁寧にスープを作り始める頃には、加湿器のおかげで部屋全体が心地よい湿り気を帯びている。濃厚でありながら不思議とさっぱりとした一蘭特製のスープから立ち昇る湯気が、加湿器の作り出す空間に溶け込んでいく。
個室でラーメンを楽しむ福岡の店舗の雰囲気には及ばないかもしれない。でも、この加湿器の作る穏やかな湿り気は、自宅での一蘭体験を特別なものにしてくれる。真冬の乾燥した夜、温かいラーメンの湯気と加湿器の優しい霧に包まれながら、私は一口一口、丁寧にラーメンを味わう。
そうして食べる一蘭は、いつも以上に美味しく感じられる。加湿器が作り出す湿度は、まるで福岡の空気を運んできてくれたかのよう。スープの深いコクと、加湿器の静かな音が織りなすハーモニーは、都会の喧騒を忘れさせてくれる私だけの贅沢な時間となる。