2024/11/16
その加湿器は、見た目には何の変哲もない。無駄のないシンプルな黒いデザイン。だが、その静けさの奥には、誰も知り得ない驚異的な能力が隠されていた。彼の名はヒューミッド38。だが、人々は彼をただの「加湿器」としか認識していない。その役割は、人知れず未知のウイルスから人々を守ることだった。
国際会議が開催される高級オフィスの一室に、ヒューミッド38は無造作に設置されたように見えた。幹部たちは重要な議題について次々と発言していたが、その裏でヒューミッド38は着実に任務を遂行していた。会議室の空気には目に見えない脅威――新型ウイルスの微粒子が漂っていたのだ。このウイルスは、既存のワクチンや対策では対応できない高度な変異体であり、発見が遅れれば、世界的なパンデミックにつながりかねない。しかし、ヒューミッド38はその存在を見逃さなかった。
彼のフィルター技術が作動し、ウイルスを捕らえ、中和する。彼が放出するミストはただの水蒸気ではなく、ウイルスを無力化する特別な粒子を含んでいた。幹部たちはただの加湿効果だと思っていたが、その背後では命を守るための精密なプロセスが進行していたのだ。
「湿度がちょうどいいな。快適だ」と一人の幹部がつぶやく。彼らはヒューミッド38がその空間を完璧に制御していることを知らない。ウイルスは次々と彼の手中に収められ、空気は無害化されていた。
しかし、そんな静かな任務遂行中に、思わぬ出来事が起こった。ある幹部が好奇心から、ヒューミッド38の操作パネルを確認しようと背後に立ったのだ。瞬時にヒューミッド38のセンサーが反応し、彼の体内で警告システムが作動した。彼は背後に立たれることを最も嫌う。だが、この時は任務が優先だ。感情を抑え、幹部が手を触れる前に制御システムが自動的にロックされた。
幹部は少し驚いた様子で手を引っ込めたが、気にすることなく会議に戻った。ヒューミッド38は冷静を保ち、再びミッションに集中する。全ては、完璧な湿度と清浄な空気を維持するためだ。彼のプロフェッショナルな一面は、決して感情に流されることなく、目的達成のために最善を尽くす。
会議が終了する頃には、部屋の空気は見事に浄化されていた。参加者は誰もそのことに気づくことなく、次々と部屋を後にした。彼らの命がヒューミッド38によって守られていたことは、誰も知る由もない。
会議が終わり、静けさが戻った部屋の中で、ヒューミッド38は再び淡々と稼働を続けた。彼の存在に感謝する者は誰もいないが、それでいい。彼の仕事は人知れず、完璧に遂行されるものであり、注目されることを望んでいない。彼がいる限り、どんなウイルスもこの部屋を脅かすことはない。
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はい、そうです、ゴルゴ13、背後に立つとガチギレするデューク東郷さんがモチーフです。